「春眠暁を覚えず」なんてことわざがありますが、春眠くなる人は本当に多いですよね。
でもなぜ春に眠気が襲ってくるのでしょうか?
そこには、実にさまざまな理由がありましたのでご覧ください!
春はメラトニンが減る!
春は日の入り・日の出の時間の変化があり、それに伴う体温の変化などさまざまな要因で、睡眠のリズムは1年の中でも一番変化します。
体内時計に働きかけることで覚醒と睡眠を切り替え、自然な眠りを誘う作用があるメラトニンは、別名「睡眠ホルモン」とも呼ばれます。
このメラトニンが眠気にとても影響しています。
「睡眠ホルモン」の異名の通り、カラダをオフモードに誘導してくれるメラトニンには、主に下記のような特徴があります。
● 冬の間は、昼間より夜間の時間帯が長いため、メラトニンの分泌量が多くなる
● メラトニンの分泌量が多くなることで、質のよい睡眠がとれる
それに対して、春になると……
● 夜間より日中の時間が多くなることで、メラトニンの分泌量が少なくなる
● 睡眠の質が低下することで、不眠や自律神経が乱れる人が多くなる
つまり、春になると、日中にウトウトしてしまう人が多くなる理由は、メラトニンを分泌する脳のメカニズムだったのですね。
特に春は冬に比べて、日の出の時間も早くなりますので、いわゆる「冬眠」から一気に行動的になる季節ですよね。
そうなると、自然と冬よりは睡眠時間を短くして活動的になろう!という意識が働きます。
意識とは裏腹に身体の方は、その変化にまだついていくことができない状態ということですね。
移動性高気圧がやってくる
春になると西高東低の冬型の気圧配置がゆるみ、移動性高気圧が周期的に日本上空に来ます。
大陸からやってきた高気圧が日本を通り過ぎた後には、必ず気圧がぐっと下がる「気圧の谷」が訪れます。
気圧が下がると副交感神経が優位になり、身体はリラックスモードに。雨が降ったり晴れたりと天候が目まぐるしく変化すると、自律神経が影響を受けて体調を崩しやすくなります。
このためやる気が起きず、気分も頭もシャキッと目覚められないのです。
このように気温や気圧が変化することでも、春の眠気が強まってくるのです。
気圧の変化で不調を訴える人は年々増えていますね。
台風や梅雨の時期の他にも、このような春の季節独特の気圧の変化もあったのですね。
「雨の日は頭が痛くなる」「台風が近づくとぜんそくの発作が出る」「梅雨時に古傷がしくしく痛む」など、天気が原因で起きる体調不良は、医療現場では昔から「気象病」と呼ばれていたそうです。
長年気象病について研究を行い、日本で初めて「天気痛外来」を開設した、愛知医科大学の佐藤純教授は、こうした症状を「気象病」と呼んでいます。
気象病として最も多くの人が挙げる症状が頭痛のようです。
ほかにも、首の痛み、めまい、耳鳴り、気管支ぜんそく、関節痛、神経痛、古傷の痛み、鬱(うつ)や不安症なども気象病の症状のひとつのようです。
佐藤先生によると現在、気象病で悩む人は日本で約1000万人にも上る推定されています。
特に症状が出やすい季節は、低気圧が定期的に通過する春や秋、梅雨時、そして台風が日本付近に接近する晩夏から秋にかけて多いようです。
では、気象病はどのようにして予防すればよいでしょうか?
まずは、自律神経系のバランスを整える生活を送ることを心掛がけることが大切です。
適度に体を動かし、起床時刻はなるべく毎日同じ時刻にして、朝食はしっかり食べましょう。
新生活のストレス
春は卒入学や就職、異動などの多いシーズンです。
新学期や新入社、新しい部署に配属されたりと、とかく新しい環境が訪れがちな季節ですよね。
また、心機一転して何か習い事やスポーツを始めるといった方も多くいらっしゃることでしょう。
気持ちが充実しているために、一見ストレスとは意識しないような事柄でも、これまでとは勝手の違う慣れない環境に身を置いているうちに、おのずとストレスを溜めてしまうケースもあるようです。
新しい状況に慣れるため、身体と心は知らず知らずのうちに緊張し、交感神経が優位な状態が続いています。
そのため夜になってもうまくリラックスできず、眠ったつもりでも充分に疲れがとれません。
その影響で昼になってもぼんやりしたり、眠くなったりするのです。
このように、自律神経の働きが乱れると、質の良い睡眠がとれなかったり、睡眠のリズムが崩れたりすることがあります。
また、夜にしっかり眠れないと疲れが翌日までもち越され、そのせいで昼に眠くなってしまうのです。
どちらかというと多くの方が鬱よりも躁状態で過ごす4月。
そんな躁状態のストレス対策において最も簡単かつ効果が期待できるのが、深呼吸です。
深呼吸を最後にしたのはいつですか?
普段の暮らしではなかなかやらないという方がほとんどだと思います。
深呼吸は、自律神経のうちの副交感神経の働きを促します。
いわゆる“戦闘モード”といえる交感神経が優位な状態から、リラックスをつかさどる副交感神経に移行させてくれるきっかけになります。
目まぐるしいこの時期は特にオススメですよ!
隠れ冷え
春になり、少しずつ暖かくなると、一気に薄着になる人がいます。
しかし長い冬の期間のため、春はまだ身体が寒さで縮こまっていたりして十分に準備ができていないことが多いのです。
本当は身体が冷えているのに、自分では気づかない「隠れ冷え」の人がいます。
春は暖かい日と寒い日の温度差もあり、時々冬に戻ったような寒い日もあります。
それなのに、薄手のコートやストッキングなど春めいた洋服でいると、身体が冷えてしまうのは当たり前ですよね。
春になると、春コーデなど、ときめくキレイなカラーの洋服などが目につき始めますが、身体のことを考えたら、まだまだ実は寒い季節の春ですので、自分の体感で衣服を選ぶほうが賢明なのですね。
人間の身体は「8度」以上の気温差で体調を崩すそうです。
高齢者や生活習慣病がある人は、気温差5度以上は危険サインとみたほうがよいかもしれません。
特に春は10℃以上気温差があるというのはざらなのです。
身体が冷えていると眠りに入りにくいため、睡眠不足になることも多いようです。
「冷えている」と感じたら、寝る前にぬるめの炭酸入浴などをするのが良いでしょう。
お風呂で取れる疲れは体の疲れだけではありません。
精神疲労、いわゆる脳の疲れもお風呂によってとれてしまうのです。
9割の人が「春バテ」
実は今まであげてきた春におこるこのような心身の不調は、「春バテ」と呼ばれています。
夏バテではなく、春バテ?と初めてこの言葉を聞く方もいらっしゃるかもしれません。
ところが、春になると「体がだるい」とか、「やる気が出ない」などの不調を感じる人が多いのが事実です。
日本の四季の変化は、意外と日本人の身体にも色々な影響を及ぼしているのですね。
春は多くの日本人が好きな季節でもありますが、身体にとっては意外と厳しい季節だとわかりました。
生活スタイルは冬のままで、五月頃まではなるべくゆったりした気分で過ごすのもいいかもしれませんね。