スキンシップは子供が乳児の時から小学校卒業までは、たっぷりとやっておくと子供も親も心が満たされ、中学生に迎える思春期もスムーズに迎えることができると言われています。
必要な時期に十分な触れ合いがあった子のほうが、自立的に育つという調査データもあります。
では、なぜスキンシップが大事なのでしょうか。
皮膚は裸の脳である
なぜスキンシップがこんなにも必要とされているのでしょうか?
それは皮膚が周囲の状況を感知するなど、脳の働きを兼ねているいわば、「露出した脳」だったのです。
子どもの成長はまず体づくりが最優先です。その後に心や頭の成長が続くのが自然な流れです。
とくに新生児は触覚や皮膚感覚から発達します。
そして触覚の発達は実は胎児のときからはじまっているのです。
皮膚感覚を育むには、いろいろなものに直に触ることが大切ですが、特に自然のものに触れることが重要です。
人工物や工業製品はどれも触り心地がよく画一的ですが、自然のものには二つとして同じものがなく、手触りも多種多様だからです。
そのさまざまな感触を体感することで感性を豊かに育みます。
体も心もバランスよく育てるには、まずは露出した脳である皮膚を、さまざまな情報や知識としてしっかり体感させ、吸収できるように発達させることが大切なのです。
毎日のスキンシップで子どもの肌を十分に刺激し、皮膚感覚を活発化してあげましょう。
愛情ホルモン「オキシトシン」
スキンシップに関して、とくに注目されているのが「オキシトシン」という脳内物質です。
「愛情ホルモン」とも呼ばれる物質で、リラックスした気持ちで肌を触れ合うことにより、双方の脳内に分泌します。
親子なら愛着関係を深めるとともに、それぞれにも嬉しい効果があるとわかってきたのです。
子供にとってのメリット
子どもにとっては記憶力がよくなり、学習効果を高めたり、ストレス耐性を強める、という効果がみられます。しかも、脳がもっとも発達する生後一年ほどの間にオキシトシンの影響を十分に受けると、脳自体がオキシトシンを出しやすいように変化するので、記憶力がよいストレスに強い、といった効果が一生続きます。
幼い頃のスキンシップが、その後の脳の成長や能力、性格などに大きな影響をおよぼすのです。生後一年ほどは、はとくに意識して触れ合い、働きかけてあげましょう。
親にとってのメリット
親にとっては、安らぎやストレス解消といった恩恵を与えてくれます。
そして驚くことに、男女では触り方によって、オキシトシンの分泌量が変わってくるようです。
お母さんは優しく、お父さんは元気にスキンシップを取ることでオキシトシンが出やすくなるという研究結果が出ています。
母親のスキンシップは子どもの情緒を安定させ、父親が行うと社会性の高い子に育ちやすいという傾向もみられます。
効果的でない抱っこひも
最近はベビーカーや、海外製のおしゃれな抱っこひもで外出する親子をよく見かけます。
実はこれは、スキンシップの観点から見ると親子の距離が離れてしまっているのです。
親は楽かもしれませんが、スキンシップという面からみると効果的ではありません。
むしろ、昔ながらの帯を使ったおんぶのほうが、肌が密着してよいスキンシップになります。
いつ、どの位、抱っこすれば効果的?
しかし、自分がゆっくり休みたかったり、家事や仕事があると、ずっと抱っこをしてあげるのは難しいかもしれません。
そんな時は一時間に一回程度、子どもの目を見ながら優しく抱っこしてあげると、10~15分ほどで子供のオキシトシン分泌量がピークになり、その後しばらくは触れなくて
も大丈夫なようです。
そして、オキシトシンが減ってくる一時間後くらいに再び抱っこしてあげれば、オキシトシンが高い状態を維持できます。
スキンシップ効果が高いのは朝よりも副交感神経が優位になる夕方以降です。
短時間でも心をこめた密度の濃い触れ合いがあれば、きっと子どもに伝わります。
まとめ
効果的な時間や時間帯もあるようですが、一番いいのは親がスキンシップを取りたい気持ちを大事にして、子供の欲求にもできるだけ答えてあげるようにするのが、お互い無理なく自然と歩み寄れていいと思います。
思春期になっても、親子間のコミュニケーションを保つ上で、褒めるときに頭をなでる、握手をするなど少しでも触れ合う機会をもちたいものですね。